厚労省が2013年に実施した「喫茶店営業の実態と経営改善の方策」について自分なりに分析してみる。10年以上前の古いデータであること。テレワークなどの新しい働き方の普及のきっかけを作ったコロナ禍前のデータであること。コロナ禍以降におきた円安を背景とした輸入物価の上昇前であること。これらを差し引いて読んでみる。
市場規模と動向
10年前の時点で長期的には縮小傾向、直近数年では増加傾向らしいが。個人経営のカフェにとって、市場の拡大が追い風に、市場の縮小が向かい風になる訳ではない(逆もまた然り)ので、あまり気にしないこととする。
市場の拡大期は新規顧客をより多く獲得し、市場の縮小機は撤退する他のカフェから顧客が流入するような市場動向に対して強い経営ではなく、市場動向に対して脆くない経営を目指すべき。
一世帯あたりの年間の喫茶代は約5000円とのこと。少なく感じるがこのデータも深追いしても意味がないデータだろう。
コーヒー消費の場所別変化
印象所別一人当たりコーヒー杯数
「職場・学校」での杯数が 150.6%増加し、次いで「家庭」では 134.3%増加、「レストラン・ファストフード」では 110.0%増加している。一方、「喫茶店・コーヒーショップ」は、19.1%と 70.9 ポイントの大幅な減少となっている。
これは興味深いデータです。コロナ禍以降のテレワークの普及で減少したはずの職場でのコーヒーの消費がどの飲用場所に移転したのか? 急増したコワーキングスペースやカフェでノートパソコンを広げて仕事をするひとが増えたことから、大きく変化しているだろうことが想像できる。
経営指標
1事業所あたりの売上高は1450万円、従業員一人あたりの売上高は450万円。利益じゃなくて売上高ですから、これは低いですね。逆算すると1事業所に従業員4人が平均ですか。この売上でオーナープラス3人を雇っていたら経営的には駄目ですね。
喫茶店営業の主要経営指標について。注目は、粗利率57.9%に対して、経常利益率が2.1%しかないこと。利益率悪化の正体は家賃?または給料?いずれわかるでしょう。一つ言っときたいのは「地主のためにカフェを営業する気はないよ!」
営業形態と立地
このデータは重要。まず、個人経営では「喫茶店(軽食あり)」が69.6%を占めているの対して「喫茶店(軽食なし)」は8.7%。喫茶店の営業利益の悪さのヒントが隠れてそう。
立地条件について。
個人経営では「住宅地区」が 56.5%と過半数を超えて高く、次いで「商業地区」「郊外」の 13.0%となっている。
個人経営の喫茶店の実態が近隣の高齢者の憩いの場と化している実態が少しずつ見えてきましたね。これ以上このレポートを読まなくていいかな?
土地・建物の所有状況
経営主体別にみると、「個人経営」では「土地・建物とも自己所有」が 56.5%と半数を超えている
自宅の一角を喫茶店に作り変えてるんでしょうね。それであの営業利益率ですか?辻褄が合わないというかこういった統計的調査データの限界も見えてきましたね。
私が想定している商店街の店舗を借りたカフェ開業と、この調査データが示す個人経営の半数が自己所有物件による喫茶店の営業は、私が参考にするには乖離が大きいのでこの時点で本調査レポートの分析を終了します。
土地建物を借地している個人経営カフェの経営状況のデータが欲しかったです。