このブログのゴールはカフェの開業だ。しかし、自力でテナントを借りてカフェを開業することだけがカフェビジネスではない。既存のカフェを短期間間借りさせてもらったり、週末イベントに出店したり、ネットで焙煎豆を販売したりと、迅速に撤退できる規模で試験的にビジネスを行うことも有効な戦略だ。だが、会社員のままでは自由に使える時間が限られてしまう。
テストマーケティングとは?
テストマーケティングという言葉を聞いたことがあるだろうか?新商品やサービスを本格的に市場投入する前に、限定的な市場や期間で試験的に販売や提供を行い、市場の反応や需要を測定する手法だ。これにより、商品の改良点や市場での受容性、価格設定などを事前に確認し、本格展開に向けたリスクを低減することができる。
テストマーケティングは、カフェ開業前のリスク軽減に非常に有効な手法です。小規模から始めることで、大きな投資をする前に市場の反応を見ることができますね。
自由な時間を得るために
このテストマーケティングのための自由な時間を得るために、会社員を辞めて個人事業主として業務委託契約に切り替える場合、会社員時代の手取りを維持するには年間いくらの売上が必要かを考えてみよう。個人事業主として手取りを確保するためには、税金や社会保険料、必要経費などを考慮した上で売上を設定しなければならない。
年収800万円のモデルケース
2024年時点で、日本人男性50歳の平均年収は業種や企業規模、地域によって異なるが、一般的には650万〜800万円程度とされている。そこで、話を簡単にするために年収800万円のサラリーマンをモデルケースとして考えてみる。
年収800万円の会社員の税金と社会保険料の概算
まず、年収800万円の会社員が負担する税金と社会保険料を概算してみよう。
1. 健康保険
健康保険の保険料率は都道府県ごとに異なるが、一般的には約10%だ。被保険者と事業主で折半されるため、個人負担分は5%となる。
- 年間健康保険料(個人負担分):
800万円 × 5% = 40万円
2. 厚生年金保険
厚生年金保険の保険料率は18.3%で、これも被保険者と事業主で折半する。個人負担分は9.15%となる。
- 年間厚生年金保険料(個人負担分):
800万円 × 9.15% = 73万2,000円
3. 所得税
所得税は累進課税で、課税所得に対して適用される。課税所得は年収から各種控除を引いた金額だ。
- 給与所得控除:
年収800万円の場合、給与所得控除は 195万円 - 社会保険料控除:
健康保険料40万円 + 厚生年金保険料73万2,000円 = 113万2,000円 - 課税所得の計算:
課税所得 = 800万円 - 195万円(給与所得控除) - 48万円(基礎控除) - 113万2,000円(社会保険料控除) = 443万6,000円 - 所得税の計算:
課税所得443万6,000円の場合、税率は20%、控除額42万7,500円
所得税額 = 443万6,000円 × 20% - 42万7,500円 = 46万9,700円
4. 住民税
住民税は一律10%の税率で、さらに均等割(約5,000円)が加算される。
- 住民税額:
443万6,000円 × 10% + 5,000円 = 44万4,600円
合計負担額
- 健康保険料: 40万円
- 厚生年金保険料: 73万2,000円
- 所得税: 46万9,700円
- 住民税: 44万4,600円
合計負担額:
40万円 + 73万2,000円 + 46万9,700円 + 44万4,600円 = 204万6,300円
したがって、年収800万円の場合、手取りは約
800万円 - 204万6,300円 = 595万3,700円となる。
年収800万円でも、実際の手取りは約600万円程度になるんですね。税金と社会保険料の影響は大きいです。
個人事業主として手取り600万円を得るために必要な売上
次に、会社員を辞めて個人事業主になった場合、同じ手取り600万円を得るために必要な売上を計算してみよう。ここでは、話の簡単のために必要経費を0円と仮定し、控除として基礎控除(48万円)と青色申告特別控除(65万円)を適用する。
前提条件
- 手取り希望額: 600万円
- 必要経費: 0円(実際には経費が発生する可能性が高い)
- 控除額:
基礎控除48万円 + 青色申告特別控除65万円 = 113万円
また、税率の概算として以下を使用する。
- 所得税・住民税の合計負担率: 約25%
- 国民健康保険・国民年金の負担率: 約13%
計算
- 手取り額の式
手取り額 = 売上 - 税金 - 社会保険料 - 税金と社会保険料の計算
- 課税所得 = 売上 - 控除額(113万円)
- 税金 = 課税所得 × 25%
- 社会保険料 = 課税所得 × 13%
- 手取り額の計算
手取り額 = 売上 - (課税所得 × 38%) - 方程式の解
手取り希望額600万円に対して方程式を立てる。
600万円 = 売上 - (売上 - 113万円)× 38%
これを解くと、
600万円 = 売上 - 0.38 × 売上 + 0.38 × 113万円
600万円 = 0.62 × 売上 + 42万9,400円
0.62 × 売上 = 600万円 - 42万9,400円
0.62 × 売上 = 557万600円
売上 = 557万600円 ÷ 0.62 ≈ 898万5,806円
したがって、必要な売上は約900万円となる。
個人事業主として同じ手取りを得るには、会社員時代より100万円以上多い売上が必要なんですね。これは重要なポイントです。
個人事業主で一番得する年収はいくらか?
個人事業主として最も効率的な年収を得るためには、税金や社会保険料の負担を最小限に抑えつつ、手取りを最大化する必要がある。具体的な金額は個々の状況によって異なるが、税率が上がるラインや各種控除を最大限活用できる年収帯を目指すと良いだろう。
まとめ:個人事業主でいくら稼げばいいのか?
結論として、年収800万円の会社員が個人事業主として手取り600万円を維持するには、年間約900万円の売上が必要だ。しかし、これは必要経費が0円の場合の計算なので、実際には経費も考慮してさらに高い売上を目指す必要がある。
業務委託契約に切り替える場合の考慮点
年収800万円のサラリーマンが会社員を辞めて業務委託契約に切り替える場合、契約金額は800万円ではなく900万円と設定する必要がある。
会社側のメリット
一見すると会社側の負担が増えるように見えるが、実際には会社側の社会保険料負担(年間約100万円)がなくなるため、総コストは減少する。
- 会社員の場合のコスト:
給与800万円 + 社会保険料約100万円 = 900万円 - 業務委託の場合のコスト:
契約金額900万円のみ
したがって、会社側としても総コストは変わらないか、むしろ減少する可能性がある。
個人事業主の手取り早見表
手取りをシミュレーションする際には、早見表を作成すると便利だ。以下は簡易的な早見表だ。
売上(万円) | 経費(万円) | 課税所得(万円) | 税金・社会保険料(万円) | 手取り(万円) |
---|---|---|---|---|
800 | 0 | 687 | 約261 | 約539 |
900 | 0 | 787 | 約299 | 約601 |
1000 | 100 | 787 | 約299 | 約601 |
※実際の数値は個々の状況により異なるため、詳細なシミュレーションが必要だ。
個人事業主で年収800万の手取りはいくら?
先ほどの計算を基にすると、個人事業主として年収800万円を稼いだ場合の手取りは約539万円となる。これは会社員時代の手取り595万円よりも少ないため、手取りを維持するにはより高い売上が必要だ。
個人事業主になると、同じ売上でも手取りが減少することがわかりました。この点は十分に考慮する必要がありますね。
最後に
個人事業主として独立することは自由な時間を得る一方で、税金や社会保険料の負担が増える。それでも、自分のビジネスを試験的に始めることで、新たなチャンスが生まれるかもしれない。自分が本当にやりたいことは何だろうか?一度立ち止まって考えてみてもいいかもしれない。
免責事項: 本記事は一般的な情報提供を目的として作成されたものであり、正確性や信頼性について保証するものではありません。記載された内容に基づく行動や判断について、一切の責任を負いかねます。税務や法務に関する詳細なアドバイスについては、必ず専門の税理士や弁護士にご相談ください。