この1ヶ月弱で10冊くらいコーヒー関連本を読みました。コーヒーを美味しく飲みたい人向けの本とカフェや喫茶店を開業したい人の本に大別できるのですが、そのどちらのグループにも登場するけど、ミルクフォームのようにふわふわアワアワしてるのが「スペシャリティコーヒー」と「サードウェーブ」というワード。同じような文脈で紹介されるこの2つのキーワードを腹落ちするまで探ってみます。
スペシャリティコーヒー?サードウェーブ?それっておいしいの?
スペシャリティコーヒーとは?
スペシャリティコーヒーに厳密な定義はない。それは各国にあるコーヒー協会がそれぞれに定義を決めてるから。協会ごとに定義はあるがそれが世界的に共通化はされてないのが現状。
協会によって定義が異なるがコアとなる規格は共通している。それは、
- カッピングで80点以上の評価を得ている。
- 生産者を追跡できる(トレーサビリティ)。
のふたつ。つまり、品質(Quality)と過程(Process)。
ここで、我が国の日本スペシャリティコーヒー協会が定義するスペシャリティコーヒーを見てみよう。 定義分より補足分のほうが理解が早い。
補則
https://scaj.org/about/specialty-coffee
- スペシャルティコーヒーと一般のコーヒーは、SCAJのカップ評価基準に基づき、コーヒーの液体の風味(カップ・クオリティ)により判別・区分する。カップ評価基準はスペシャルティコーヒーの発展・変化に伴い随時修正する。
- 生豆についてのSCAJ独自の厳密な評価基準も必要と考えるが、現時点では各生産国の規格に合致していることを条件とし、欠点豆についてはSCAの基準を参考とする。今後の検討課題とし、必要に応じ適宜修正をする。
- 日本人がおいしいと感じるコーヒーの風味特性を研究課題とする。
わたしなりの解釈は、
- 生豆は生産国の規格をそのまま適用する。日本では豆をほとんど生産していないのでこれは仕方ないでしょう。
- 液体(ドリンク)としてのコーヒーは日本スペシャリティコーヒー協会が日本人の視点で評価する。
- 評価基準はコーヒーの発展・変化に伴い随時修正する。
合理的な定義付けは個人的に好きです。とくに、変化には柔軟に対応する姿勢がよいですね。この話は次に続くサードウェーブに繋がりますが、その前に「カップ・オブ・エクセレンス」について。カップ・オブ・エクセレンスは年に1度開かれる国際審査会でスペシャリティコーヒーだけが出品できる。国際審査員たちが出品された豆・コーヒーに順位付けを行う。「20◯◯年 カップ・オブ・エクセレンス 第◯位!」のような売り文句があれば、それはスペシャリティコーヒーの中で特に高級な豆というわけですね。
サードウェーブとは?
サードウェーブとは第3の波。まあコーヒーブームのことですね。過去に三度大きなブームがあったということ。いまがサードだから、ファーストとセカンドがあったということ。
ファーストウェーブ
1960年代におきたファーストウェーブは、大量のコーヒーの粉が世界中に流通し、多くの人の口にコーヒーが届けられたこと。焙煎やら挽いたりやらで面倒くさかったコーヒーがインスタントコーヒーとして手軽に楽しめるようになった。インスタントラーメン…たまに食べるとおいしいですよね(違う
セカンドウェーブ
そして、1960年代後半におきたセカンドウェーブ。同じ頃スターバックスが生まれたそうです。インストコーヒーを飲んでた層から、良い豆を手に入れて、手間をかけて、美味しく淹れるコーヒーに目覚めた人がたくさん現れた時代。そう、まさに今の自分! 豆から買って、自宅で挽いて、ハンドドリップしたコーヒーがこんなにおいしいと感動し、エスプレッソやラテアートにまで手の伸ばしそうになってる意識高い系のいまの自分のようなひとが大量に生まれた時代。そりゃブームになるわ。
豆から買って、自宅で挽いて、ハンドドリップしたコーヒーがこんなにおいしいと感動し、エスプレッソやラテアートにまで手の伸ばしそうになってる意識高い系のいまの自分のようなひと
サードウェーブ
そして、2000年代にはじまり現在でも続くサードウェーブ。個人の好みに応える時代。インターネットの発展で「どの豆がおいしい?」「あの豆はかなりいいぞ。」のようなやり取りが国境を超えて行われて、AmazonをはじめとするECの発展で国を超えてほしい豆を手に入れられるようになった。ロングテールの時代。大量に仕入れて大量に販売しなくても固定客を掴むことで利益を生み出せるビジネスモデルの時代。そう、それは個人の時代。
「おいしい、好み、口に合う、わたしはスキ」
そんな個々のニーズ、個人のこだわりに応えられる時代、それがサードウェーブ。
今日も、ふわふわした事柄を、自分なりに言語化したことでカフェ開業のヒントを少し得られた気がします。
では、また次の記事で。